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■ 研究概要
近年、市街化の進展や集中豪雨の増加に伴い、下水道の雨水排水能力を上回る雨水
流出が頻繁に生じるようになりました。また、都市部への資産集中や地下空間利用の
進展等都市機能の高度化が進むことにより、浸水に対する都市の被害ポテンシャルは
増大しています。
本研究では、郡山駅前をモデルとして降雨の流出状況や浸水状況を検証し、水害に強い
都市づくりの方策について考察します。
■ 1.気候変動と豪雨災害の特徴
地球温暖化による気候変動と考えられる異常気象が、近年頻発していることがデータから
伺えます。これまでに経験したことが無いような強い降雨が、短時間に狭い範囲で起こる現象
が見られています。 これにより、河川からの洪水や市街地での内水氾濫のリスクが増大
していることが懸念されます。
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■ 2.都市型豪雨災害を考える
都市においては、前章で考えられた気象変化とは別に浸水被害を増大させる要因が存在して
います。
(1)アスファルトやコンクリート舗装による雨水の保水・浸透能力の低下
(2)雨水排水路の整備による、流出する雨水の到達時間の短縮
(3)今まで分散していた排水系統をまとめることによる雨水排水の集中化
また、一旦浸水が発生すると、都市域では郊外に比較して被害が大きくなる傾向があります。
(1)住宅が密集していることによる浸水被害の増大
(2)交通や通信といった都市機能の麻痺
(3)地下施設への流入による人的事故等
■ 3.2010年7月6日豪雨による郡山駅前の浸水

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2010年7月6日に気象台で観測された降雨は1時間に40.5ミリ、福島県の麓山観測所では
1時間に68.0ミリもの降雨が観測されています。
この降雨により郡山駅前が冠水しました。

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■ 4.コンピュータを使用した浸水被害の解析
郡山市街の下水道施設や道路形状をコンピュータで再現し、降雨を降らせて当時の浸水状況
を再現する試みを始めています。
時間ごとの浸水状況の推移や浸水原因の解析を行うことで、効果的な対策方法について検討
することができるようになります。
・浸水原因の解明
・将来予想される降雨の規模による都市型浸水のリスク評価
・雨水調整池などの装置の効果の評価
・新たな雨水貯留方式の評価など
■ 5.都市型水害に備える
従来を大きく超える規模の降雨が発生する現在、都市の排水能力も従来の能力を増強する
必要に迫られています。しかしながら、下水道施設規模の増強には多額の建設費や期間が
かかることから新たな視点での雨水対策が必要とされています。
(1)「雨水の速やかな排除」から「一定時間保有してピークの軽減を図る」
(2)浸透施設などを活用し、下水道施設への流出を抑制。
(3)被害を伴わない浸水を許容する地区の作成。
(4)ハザードマップなど「ソフト」での対策を強化。
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