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■ 研究概要
東北地方太平洋沖地震に伴う巨大津波は、各地で甚大な被害をもたらし、海岸堤防や護岸、
消波構造物も各地で被災しました。 しかし、報道写真などから陸地に侵入した津波は、海岸
構造物および海岸林の有無によって到達位置に違いが見られ、構造物による津波減勢効果を
確認することができます。
本研究では、堤防に加えて防災緑地や道路などを2線堤、3線堤とした多重防御施設による
最大津波に対する減勢効果を検討します。
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■ 1.四ツ倉漁港・四ツ倉海岸の津波被災状況
四ツ倉海岸には、TP6.2mの海岸堤防、消波ブロック、離岸提、飛砂防止のための防風林(海
岸林)が整備されています。
現地調査により、前面に海岸構造物の少ない砂浜海岸に面した住宅地や河口周辺の住宅は、
津波のせき上げや遡上によって被災するケースが多く、また、被害の度合いは堤防後背地の
地盤の高さに大きく関係していることがわかりました。
今後の対策としては、堤防のみの線的防護ではなく、防災緑地や防災盛土と複合させる面的
防護が有効と考えられます。
■ 2.津波減勢効果に関する実験的検討
直立堤防と各種防災施設を組み合わせた面的防護による津波減勢効果について、水理模型実験
による検討を行っております。
傾斜堤や防災盛土、高盛土道路の組み合わせや、堤防間距離の異なる実験結果を比較・検討し、
より現実的かつ効果的な津波減勢対策について考察します。
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(1) 直立堤防+道路
堤内地側に築造される2つめの堤防を2線提といい、道路の機能を兼ね備えることができます。
直立堤防と道路の2線堤による津波抑制効果は堤防間距離に大きく依存します。実験結果に
よれば、レベル1津波(100年に1回程度確率で発生する津波)に対し堤防間距離をゼロとして
同じ大きさの津波を与えると、堤防間の十分な津波減勢効果により、ほとんど越流しない結果
を得ることができました。

(2) 直立堤防+防災盛土+道路
東北地方太平洋沖地震に伴う巨大津波がもたらした被害状況に鑑みて、レベル2津波(1000
年に1回程度の確率で発生する津波)に対する対策方針を見直す動きが全国的に広がってき
ています。
レベル2相当である15mの津波に対し、防災盛土を2線堤、道路を3線堤とする防護策を検討
した実験結果では、堤防間距離を50mとすると、越流量を津波流量の5%程度にまで抑えられ
る結果となりました。
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